過去に母が精神的不調になった話のつづきです。
母が入院した病院はうっそうとした木に囲まれていました。
患者さんを下界の刺激にさらさないよう配慮していたのかもしれません。
母が入院して1ヵ月ほど経ち、父から「面会に行くぞ」と言われました。
病院とのやり取りは父が行っており、病院から面会許可が出たのです。
私は母がどうなるのか不安でした。
このまま精神が荒廃していくかもしれないと不安だったのです。
病院につくとスタッフさんが明るく出迎えてくれました。
男性のスタッフが「○○さんのご家族が来ました~」と周りに大きな声で伝えます。
スタッフに案内されて母のいる病室に行くと母が立っていました。
こちらに気づいても寄ってきたりはせず、うつろな感じです。
病室は透明なアクリル板で囲われており、中の様子がはっきり見えました。
何もない部屋に敷布団があり、少し離れた場所にむき出しの和式便所があります。
患者さんが自分を傷つけたりしないよう、尖ったものが極力排除されているようでした。
その日は母と会話をすることはなく、様子を見るだけで終わりました。
精神科の病棟に入るのは初めてで、最初は「奇声を発する人がいて怖い場所かも」と不安だったのですが、そういったことはありませんでした。
すれ違う人は興奮しているというよりも、皆うつろでボーっとしている人が多かったです。